「かまくら春秋」
連載
vol.12
環境騒ぎもひと落ち着きした。このところ、そんな印象がある。
なによりいまは不景気、その上に政権交代である。儲かる話ならともかく、環境なんて迂遠な話は暇なときにしてくれ、ということでしょうね。
環境の議論をするときに、いつもそれを思う。つまり環境は長い目で見なくてはならないけれど、世間のテンポはそれとは違って、もっとずっと短いのである。だから環境の話に宣伝が出てくるのは、本筋ではない。温暖化問題がその典型であろう。新しい政府の政策を見ても、あちらで省エネを主張するかと思えば、こちらでは石油消費が増える話。首相の二十五パーセント発言は前者だが、高速道路の無料化は後者であろう。