「かまくら春秋」
連載
vol.8
しばらく連載を続けて、ふと思った。自分は環境について書くのが、じつは好きではないのではないか。
いったんそう思うと、そうに違いない、という気がしてくる。理由は簡単だと思う。私が好きなのは自然環境そのもので、それを言葉で説明することではない。
森を歩いていると、気持ちがいいから、いくらでも歩けるような気がする。そうやって気持ちよく歩いていることを、他人に語ってみても、「ああ、そうですか」でお終い。私自身は確かに気持ちがいいけれど、それは他人とは関係がない。そもそも気持ちがいいなんて、思わないかもしれない。これが感覚の困った点である。